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Posted by naturum at

2017年07月19日

鍛金を始めよう! その2 / 鎚起銅器

さあ、鍛金の勉強の2日目です

この日の埼玉はクソ暑くて、とてもツナギなんか着られず・・・
タンクトップに手ぬぐいで参上しました

昨日、銅器の成型は希望通りの形まで行ったので、
今日は仕上げ工程です。



まずは、「錫引き」です。



その昔、銅の表面にできる緑色の緑青(りょくしょう)は猛毒とされました。
見た目もド・緑色で気持ち悪いですしね。それで、戦後昭和27年に食品衛生法で
銅食器の内側にはメッキを施すことと定められました。しかし、その後研究が
続けられ緑青には毒性がないことがわかってからも、地金と別の金属で被膜を作る
ことが続けられています。

もちろん、酸性のものを銅食器に入れたままにすると、銅中毒になることが
あるので酸の強いものは入れない方が安全です。

今回は、見た目もあって、従来通り錫を内側にひくこととしました。
用意するのは、錫用のフラックス(塩化亜鉛)と錫。



231℃の融点の錫を溶かして、器の中に塗り上げるのは筆ではなく脱脂綿。
化繊の綿ではなく、木綿綿がいいと聞きました。 燃えにくいからということで。
フライパンや鍋は、錫引きを素手で行いますが、カップなどは口が狭いので
火傷するためピンセットを使います。



まずは、練習用の器で練習。だって、錫引きの名人になりたいから(爆)
錫を少量器にいれ、金網の上で熱します。



溶けてきたら、丁寧にこするようにして広げていきます。
錫が溶けた部分はキラッと光るのでわかるんです。



ちょっと薄いところも補って、完成です。



さて、マイ・ぐい呑み。



溶かして・・・



溶けました。



何だか、錫を入れすぎたかな?



かき出すようにして広げて修正します。



こんな感じかな。



錫が飲み口となるところにはみ出しているので、やすりで丁寧に
削り落としていきます。



トースカンで綺麗なラインにしてもいいんですが、
大きなウネリのラインが好きなので、そのように描き、
金切り鋏で切り落とします。



錫・鉛用のヤスリで綺麗に成型して・・・



飲み口の縁を少し唐紙側で成型します。



バリが出たらキサゲや紙やすりで成型して、滑らかにします。



イイ感じに鎚目が入りましたー!!!

あとは表面の処理です。
金属の表面処理は、いろいろ方法がありますが、
簡単にできる硫黄による処理を行いました。



入浴剤の硫黄をぬるま湯に溶かして、器をドボンッ
あっち向いて話をしているうちにすぐに反応が始まり・・・



こんな燻した色の銅になりました。
硫化されたのかな。



鎚目が目立つように、もっと深く鎚目を入れれば良かったなあ・・。

重曹を軽く振りかけてすりすりした後、クレンザーで
軽く磨いていきます。



磨きすぎると、元の銅の地金が出てくるので、適度に。



スポンジやすりで磨いて、イイ感じのテクスチャーになるように仕上げます。



おお!!!!



イイ感じじゃないですか!



サイズ感もバッチリ!!!
1.0mmの銅板で作ったけど、重さもしっかりあって、イイね。



やっぱり、冷酒を頂くしかないね!
これは感動ですわ。



お世話になった吉田康平先生、ありがとうございます!!!

新しい技巧にふれ、感動している僕でしたw  


Posted by Dr.ホッピー at 18:05Comments(0)鍛金

2017年07月18日

鍛金を始めよう! / 鎚起銅器


さて、最近 真鍮板などをいじることが多い僕ですが、
やっぱり気になるのは鎚起銅器です。

自分で1枚の金属板から打ち出して作った器で酒を飲んだり、
一体成型の燃料タンクを作ったり、微妙な曲線・局面のパーツを作ったり・・・。 

それを可能にするのが、焼きなまし→ 金槌での打ち出し成型 を行う鍛金。
プレスは素人の僕にはできないから、やっぱり手で打ち出す鍛金でしょう。

というわけで、勉強に行ってきましたw  鍛金作家さんの工房に
2日間通いました。

非常に刺激的で、魅惑される世界でした。 

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お世話になった先生の工房は、ガレージを改装した作業場。
やっぱり木工とちがって粉塵があまりないのがいいよな。
僕も徐々にこっちへシフトしていこうと思ってます。

初め、やかんを作りたいと申し出たけど、それはなかなか難しい
ということで、まずはマグカップということになりました。



1枚の銅板から円盤を切り出して、ある程度成型したあと
バーナーで焼き鈍します。700℃くらいまで熱したあと、
希硫酸の水槽に材料を数分漬け込み、それを水で洗います。

鍛金の道具・工具は水を非常に嫌うので、その洗った銅板を
乾燥させます。バーナーで軽く熱して冷ましました。



最初は、木の臼にあてがい、それを木槌で軽く成型します。
コンパスで切り出すときにつけた中心点は臼側に向きます。



で、こんな形になりました。 
それに、さっき切り出すときにつけたコンパスの中心点から同心円を
いくつかマークしていきます。これが、金槌でたたく際の目安になる。



で、さらに・・・・



スタートラインを決める。



こんな形の当て金(ぶったて)に銅板を当てて、微妙な角度を保ちながら
金槌で成型して(絞って)いくわけです。



こんな金槌を使います。唐紙鎚といいます。これは9分サイズ。



絞っていきます。1段階ごとに、さっきより角度が変わっていきます。



ちょっと変わってきた!



当て金に当たったところが、キラキラしてます。



鎚目が出てますー。



さらに、角度を変えていきます。 こうやって、平らな板からカップ状になっていく。



ね! だいぶ変わってきた。



さらにもっと・・・。



この銅の色がバーナーによる加熱で色が変わるのが素敵。
一瞬赤くなって、つや消しの深い黒色になったら、そこで焼き鈍し温度。
それを水にいれて急冷します。



これ、イギリスの金槌。 英語でRaisingっていうんだよね、鍛金。それは、
日本の鍛金とちがい、器の外から内側に叩いていく、登っていくから
ライジングなんだって。日本の鍛金は、底側から叩くんだよね。



他にも、いろいろな金槌があります。
夏の湿気がとくに注意が必要で、たまにカガミ・カラカミ面をCRCで
錆から守る必要があるんだって。



ふふふ、だいぶ形になってきた。

ちゃんと勉強しているので、腹が減ってきたので、やっぱりここは・・・



ラーメンでしょうw
栄養・塩分補給をして、また午後の部です。



先生に、かなり褒められました。 
だって、手先を使うことは上手くなりたいし・・・。



求める形にするために、今度は違う形の当て金(への字)に変えます。



ある程度絞れてお椀状になってきたら、への字にします。
筒状になってきたら、うの字にします。
ああ、どれも欲しい!



焼き鈍した銅板は金槌で叩いていくと、加工硬化をおこし、固くなります。
それをまた焼き鈍して・・・ の繰り返しです。
バーナーで焼いて、それを10%の希硫酸に漬け込みます。



うーん、すごい青だ・・・。
それを、水洗いすると、



酸洗いされた綺麗な地金が出てきます。



ちょっと叩きすぎて、形の調整が必要になった底近くを、細い木槌で成型。



またひたすら絞っていきます。



だいぶ絞れてきました。



僕の理想とする形は、上の方で内側に緩やかに曲がる形。
マグカップではなく、ぐい呑み椀にしちゃいました。



イイ感じになってきました。
そろそろ、焼き鈍しもかなりの回数いってます。



このプロパンバーナー、欲しいなw



底面を別の当て金(坊主床 直型 平面)を使い、内側から当て金をあてて、
鎚できれいな底面にします。 変に一部だけ強く叩くと、逃げ場を失った
銅が盛り上がり、底面がゆがむ原因となります。
外周から中心へと軽く優しく叩くのを繰り返します。



外側の面も綺麗なラインになるようにならしていきます。
(あとから思ったのは、もっと表面のテクスチャーを出すために
深めの鎚目を入れれば良かったな)



刻印も入れてみました(笑)



最後にきれいに酸洗いだけして、



いつもの唐紙鎚はこんなきれいなカガミ面だけど・・・



荒らし用の鎚に変えて・・・



真ん中を中心としてややグラデーションをつけて荒らしを入れてみました。
初め、これはしまったな、 と思ったけど 後になって素敵な模様となって
感動しましたねー。

さあ、そろそろ1日目も終了です。
明日は仕上げ工程となります。
僕は器用なのか、とてもスピーディーに進んだので、明日はロウ付けも
教わろうかと思います。



ああ、S45Cの鋼材からこれを作るのって、大変だよな・・・。

  


Posted by Dr.ホッピー at 20:47Comments(2)鍛金